Abstract : |
「I 緒論および研究目的」超低体温を得る方法として, 人工心肺回路に熱交換器を設け, 血管系を介して内部から急速に冷却する方法はまず1952年Delorm1)が行なつた. つづいてJuvenelle(1954)2), Gollan(1955)3)らが成功例を得ている. かくして超低体温併用による体外循環法はDubost4)5), Drew6)7), Bjork8)9)等によつて臨床例に応用され, きわめて良好な成績をおさめるに至つた. しかし, 超低体温体外循環による手術後死亡例, および後遺症のみられた若干例の中には, 直接人工心肺装置から混入したと思われる気泡, および回路中温度変化による血液内溶解ガスの発泡による栓塞の症例が存在する事を唱える者が出て来た10)11)12)13)14)15). われわれも体外循環の研究に着手した当初の1955年から熱交換器を装置内に組入れ, 血温調整に用いたが16), これが予期以上に有利なことを知つたので, 翌年2月に発表した16). また, 熱交換器使用による実験的超低体温潅流に際して, 温度差に起因すると考えられる発泡現象を認め, これについてさきに石山18), 田中19)が発表した. |