アブストラクト(19巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環における拍動流の意義について-特に腎循環を中心として-
Subtitle : 原著
Authors : 滝川喜一, 久保克行
Authors(kana) :
Organization : 三重県立大学医学部胸部外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 19
Number : 6
Page : 526-542
Year/Month : 1971 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「緒言」人工心肺体外循環時の腎循環の変化は, 多くの学者により検討されている如く, 腎血流量の減少1)2), 腎血流分画の減少3)4), 糸球体濾過値の減少5)6), 腎血管抵抗の増大7)8)9)などの著しい変化が認められている. これらの変化を来す原因を究明すべく, 諸学者により, 潅流量10)の面から, 充填液および稀釈率11)12)の面から, 体外循環時間13)の面から, 酸塩基平衡14)15)16)の面から, 溶血17)18)の面から, あるいは体外循環に用いた人工肺の相異19)などの面から検討されてきたが, これらはいずれもローラー型人工心またはシグマ型人工心などのlow amplitudeの人工心を使用した場合の成績である. 体外循環時の腎機能障害を, low amplitudeの人工心による潅流方式, すなわち, 使用した人工心の血液駆出方法に原因するものであるとの考えから, 拍動流による体外循環に関する研究報告20)21)22)23)24)25)がみられているが, とくに腎循環を中心に検討したものは少く, 臨床例において報告されたものはない. そこで著者は, 昭和42年来久保ら25)の製作した三重県大式拍動型人工心を用いて, high amplitudeの比較的生理的に近い拍動流を与えた場合における腎機能におよぼす影響を検討し, 同時にローラー型人工心の場合と比較しつつ, 循環生理学的に研究を行なつた. まず, 第1章では, 本研究に用いた三重県大式拍動型人工心の構造を述べるとともに, これを使用した際における圧波形および流量波形などの特色について検討した. 次いで, 第2章では, 腎循環におよぼす拍動流の影響をみるために実験的研究を行なつた. すなわち, 拍動型人工心による体外循環を行い, 腎循環に関して, ローラー型人工心と比較検討した. さらに, 拍動流の腎循環に及ぼす影響を, 体外循環という要素を取り除いた状態で観察するため, Depulsatorを用いて, 拍動流と無拍動流を作り, それぞれの場合における腎循環について基礎的な面から比較検討した. 第3章では, 拍動型人工心を使用した臨床例において, 腎循環におよぼす影響を検討すると同時に腎循環の観察に極めて重要な, 血清電解質, 尿中電解質, 血漿ヘモグロビンおよび尿量の変動と腎合併症に関して検討を加え, これらをローラー型人工心と比較検討した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
このページの一番上へ