アブストラクト(20巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心原性ショック時の肺循環障害に関する実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 根岸七雄, 宮本忍
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第二外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 20
Number : 1
Page : 24-38
Year/Month : 1972 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心原性ショック時における肺循環障害の発生機序を明らかにするために, 次の実験的研究を行なった. すなわち, 雑種成犬の左冠動脈前下行枝に絞扼器をかけ, 胸腔外より絞扼を行ない心筋に急性虚血性変化ないし急性心筋硬塞を作成した. 次いで絞扼後120分間観察し心肺の血行動態および肺の病理組織学的検索を行なった. 絞扼直後より心拍出量は著明に減少し, 左房圧は軽度上昇したが動脈圧は平均90mmHg前後と比較的高値に保たれた. それは末梢血管抵抗の増加による代償作用のためと思われる. それにもかかわらず, 動脈血におけるアチドージス強化, 静脈血O2飽和度の低下, 動静脈血O2飽和度較差の拡大などでも明らかなように末梢循環障害が発生した. 肺機能面では, 換気数の増加および分時換気量の著明な増加により動脈血CO2分圧は著明に減少したが, 動脈血O2飽和度の減少は軽度にとどまった. したがってこのアチドージスは代謝性のものと思われる. 肺循環面では, 肺/末梢血管抵抗比の漸増により肺血管が体血管よりも優位に収縮したことを示唆する. しかも肺血管抵抗増加の機序をみると, 早期に肺静脈側血管抵抗の著増が70%にみられ, その後全肺血管抵抗と肺小動脈抵抗の増加がこれに続いた. 同時に肺循環時間の延長が認められたことから, 明らかに肺循環障害が起っているものと思われる. この事実は病理組織学的検査によりしばしばうつ血性無気肺像がみられたことによっても証明される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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