Abstract : |
選択的冠動脈造影法の安全性を検討するために, Glutamic oxalacetic transaminase(GOT), Glutamic pyruvic transaminase(GPT), Lactic dehydrogenase(LDH), LDH Isoenzyme, Creatine phosphokinase(CPK)を造影前後に測定した. 対象は, 選択的冠動脈造影像上1枝以上, 50%以上の狭窄を示す症例9例(A-1群), 選択的冠動脈造影像上狭窄が50%以下の症例7例(A-2群), 虚血性心疾患をともなわない心疾患10例(B群)の26例である. 選択的冠動脈造影後の血清酵素活性値の変動は, 各群ともLDH, LDH Isoenzyme pattern GPTで正常範囲内の変動にとどまっていた. GOTは, A-1群, A-2群各2例に造影後第1日目に異常値を示していた. CPKは, 選択的冠動脈造影後第1日目に測定した全例で上昇を認めた. 選択的冠動脈造影法による合併症は, 心室細動を2例(7%)に認めたが, Countershockにて洞調律に回復した. 造影後の血清酵素活性値はGOT, LDH, GPTに著明な変化はなく, LDH Isoenzyme patternでLDH4, LDH5の上昇を認めた. 血清酵素の上昇は, 造影剤注入による細胞膜透過性の亢進のためと思われる. 血清酵素学的見地から, 選択的冠動脈造影法は安全である, との結論をえた. |