Abstract : |
大動脈弁上狭窄症(Supravalvularaortic stenosis:SAS)はValsalva洞直上部より末梢に限局的またはびまん性に狭窄を呈する左室流出路狭窄の一型である. 1930年Mencarelliによつて本症の最初の報告がなされた. 1958年DenieとVerheugt1)が外科的修復を初めて試みたが試験開胸に終り, 剖検でSASの病理解剖所見を詳しく報告した. 以後Kreel2)そしてMorrow3)らにより外科的治療が試みられたが成功するに至らなかつた. 1916年McGoonほとんど同時期にStarrら5)によつて最初の手術成功例が発表された. その後, 心臓カテーテル法, 心血管造影法の発達にともない年々SASの報告例は増加している. また手術成績もよく, 形成不全型SASを除きその手術方法もほぼ確立されたようである6). なお1961年Williams, Barratt-BoyesおよびLoweら7)によつてSASに全身的多様病変を伴う大動脈弁上狭窄症候群(Supravalvular aortic stenosis syndrome:SASS)なる一単位疾患が提唱された. |