アブストラクト(23巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 外科療法をうけた非腫瘍性肺疾患の遠隔肺機能
Subtitle :
Authors : 井村价雄*, 安野博*, 山本弘*, 中佳一*, 塩沢正俊*, 宮本洋寿**, 中川健***
Authors(kana) :
Organization : *結核予防会結核研究所付属療養所, **東京大学医科学研究所外科, ***癌研究会付属病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 9
Page : 1132-1139
Year/Month : 1975 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺結核例を主体とする非腫瘍性肺疾患例を対象とし, 術前, 術後の肺機能変化を検討した. まず術前と術後少なくとも2時点以上でVCを測定した143例を用いて, 術後肺機能の遠隔評価時点を設定しようと試みた. ついで術前, 術後にスパイロメトリー, 不均等換気測定, 血液ガス分析, 心電図検査を繰返して行つた79例(葉切・区切24例, 胸成21例, 全切34例)によつて, 術後における肺機能失調の出現順位, ことに不均等換気増大の有意性と他所見出現との関連性について検討した. 術後肺機能の遠隔評価は術後7-12ヵ月の時点で行つてよい. 不均等換気増大はVA3/L3またはVA2/L2<0.7l/min/L, L3/LTまたはL2/LT>0.35を同時に満す場合とした. 肺機能の失調は不均等換気の増大から始まり, 低O2血症, 高CO2血症を経て, 心電図上の右室肥大像出現の道順を踏む. したがつて, 右室肥大像の出現は予後不良の所見といえる. 不均等換気の増大は全対象例の約半数でみられ, 不均等換気増大例の約80%で低O2血症を認め, 低O2血症例の約半数で高CO2血症が証明された. 不均等換気増大例の出現頻度が高いのは, 選択された症例を対象例としたためであるが, 不均等換気増大例から起る低O2血症, 高CO2血症の出現率には普遍性がある. 前述の肺機能失調は胸成例で最も強くかく頻度も高く, これにつぐのが全切例, 葉切・区切例である. しかし胸成例における高度の肺機能失調が胸成術そのものによるとの結論はえられなかつた. 不均等換気増大の測定は肺機能失調を招く素地の決定に極めて重要であるにも拘らず, 比肺活量や予測肺活量1秒率などの指標によつて, 不均等換気増大を正確に予測することは不可能である. したがつて, ここに不均等換気分析法の重要性を強調した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
このページの一番上へ