Title : |
左房粘液腫とくに腫瘍の分類および摘出手技に関する考察 |
Subtitle : |
原著 |
Authors : |
土岡弘通*, 清水健*, 村瀬允也*, 田中稔*, 吉岡研二*, 津田斉*, 小林淳剛*, 小林正治*, 宮田義弥*, 大宮孝*, 野垣英逸*, 柿原理一郎*, 椙山直敏*, 竹内栄二*, 弥政洋太郎*, 中島伸夫** |
Authors(kana) : |
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Organization : |
*名古屋大学第1外科, **名古屋大学検査部病理室 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
26 |
Number : |
10 |
Page : |
1260-1271 |
Year/Month : |
1978 / 10 |
Article : |
原著 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
左房粘液腫は稀な疾患とされてきたが超音波検査法の普及により診断が容易となり, 摘出術を行う機会が漸増している. この報告は自験5例に基づいた腫瘍の分類と摘出手技に関する考察である. 患者は全例女性で年齢的に16歳から44歳に分布し, 心悸亢進, 呼吸促迫, 末梢動脈塞栓の既往があった. 僧帽弁膜症を疑わせる心雑音と血漿蛋白分画の異常が存在し, 左房造影および超音波像で左房・左室間を往復する異常massを確認した. 胸骨正中切開で心臓を露出し, 体外循環下に原則として左房右側切開および経心房中隔切開の2方向から左房腔に到達し, まず柄の付着部を確認し, 金属meshを挿入して腫瘍組織を受けとめ, ついで付着部を切離して摘出する. この腫瘍は極めて壊れやすいので, 摘出までのすべての操作にはとくに慎重を要する. 腫瘍摘出後は左心腔を充分に洗浄するとともに右心腔を検索して多発性腫瘍の見落しがないように心掛ける. 柄付着部中隔の広範囲合併切除は必ずしも必要でない. 今回の症例で腫瘍組織は中隔筋層に至らず, ほぼ柄付着縁までの範囲内にとどまっていた. 中等度以上の僧帽弁逆流を合併すれば弁輪形成術をあわせ行うが, 弁組織に肥厚がない場合があるので注意を要する. 粘液腫をゼラチン様のもろい葉状結節を多数有し, 僅かな機械的刺激により容易に壊れる「ひらひら型(A型)」と, 表面平滑な卵形のやや壊れにくい「かたまり型(B型)」とに分類した. 前者に末梢動脈塞栓の既往が多く, 柄以外でも左房壁に付着している場合があり, 腫瘍摘出術を行うにあたり, より細心の注意が必要である, この分類は手術手技の面からみて有意義なものと考えられる. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
左房粘液腫, 腫瘍の分類, 腫瘍の摘出手技 |