Authors : |
鬼頭修平, 渡辺孝, 弥政洋太郎, 阿部稔雄, 清水健, 村瀬允也, 田中稔, 鷲津卓彌, 野垣英逸, 椙山直敏, 竹内栄二, 柿原理一郎, 末永義人 |
Abstract : |
日本における完全大血管転位症の根治的手術成績の現況を調査する目的で, 日本全国の142施設に対してアンケート調査を行った. 95施設よりご協力が得られ, その成績を集計して次のような結果を得た. 今日まで日本において根治的手術が施行されたT.G.A.の症例はI群(V.S.D.(-), P.S.(-))240例, II群(V.S.D.(+), P.S.(-))232例, III群(V.S.D.(+), P.S.(+))101例, IV群(V.S.D.(-), P.S.(+))11例の計584例である. 全症例の病院死亡率は54%, 遠隔死亡率は8%であり, 両者を合わせて62%と諸家の報告に比し悪い成績である. I群, IV群の死亡率(病院死亡率+遠隔死亡率)はそれぞれ47%, 27%であるが, II群, III群では75%, 67%と高率である. 手術時年齢をみると, I群では1年未満の症例が60%を, 2年未満の症例は90%を占め, 手術は適当な時期に施行されていると考えられる. それに対し, II群では平均年齢が1年11月であり, 1年以上の症例が56%を占め, 6月未満の症例は18%にすぎないことなどから, 手術は適当な時期に施行されているとはいえない. 生存例の術後の機能能力をみると, I群, IV群でN.Y.H.A.分類class Iの占める割合はそれぞれ81%, 71%であるが, II群, III群ではそれぞれ44%, 43%と低く, 症例の半数以上が生活制限をうけている. 手術術式はMustard法が最も多く478例(82%)であり, Rastelli法51例(9%), Jatene法25例(4%), Senning法15例(3%), Damus-Kaye-Stansel法10例(2%)などである. 死亡率はMustard法59%, Senning法47%であるのに比し, 解剖学的根治術であるJatene法, D-K-Stansel法はそれぞれ92%, 80%と極めて悪い. Rastelli法は65%の死亡率である. これらの集計結果に若干の文献的考察を加えた. 手術時期, 手術法などに関して, より一層の努力が必要であると考えられた. |