アブストラクト(31巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症の左室拡張末期容積と左室一回拍出量の意義 -根治手術適応基準と術後血行動態への影響について-
Subtitle : 原著
Authors : 野本慎一1), 村岡隆介3), 横田通夫1), 青嶋実1), 曲人伸1), 小林彰1), 斉藤彰博2), 上田憲2), 中野博行2)
Authors(kana) :
Organization : 1)静岡県立こども病院心臓血管外科, 2)静岡県立こども病院循環器科, 3)福井医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 31
Number : 3
Page : 271-278
Year/Month : 1983 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ファロー四徴症(TOF)の術前の左室拡張末期容積(LVEDV)及び左室一回拍出量(LVSV)が, 根治手術の適応決定あるいは手術予後の判定に有用か否かをretrospectiveに検討した. 昭和52年7月開院以来昭和56年12月末までに手術を行ったTOFは60例で, 根治手術を31例に, 姑息手術を29例に行った. 44例(根治手術群26例, 姑息手術群18例)において二方向シネアンジオ写真よりLVEDV, LVSVを測定した. 術後のドーパミン(DOP)総使用量と術前のLVEDV, LVSV, 肺動脈/大動脈径比(PA/Ao径比), 及び術直後の右室/左室収縮期圧比(RV/LV圧比)との関連を検討した結果, DOP総使用量とLVEDV, LVSVとは高い逆相関(それぞれr=-0.753, r=-0.795)を, PA/Ao径比とは中等度の逆相関(r=-0.587)を認め, 術直後のRV/LV圧比とは相関を認めなかった. DOP総使用量5,000μg/kg/min×hr以上の重症例では, LVEDV及びLVSVはそれぞれ正常の63±4%及び54±7%で, DOP総使用量1,000μg/kg/min×hr以下の軽症例に比べLVEDV, LVSVはともに有意に小さかった. 乳児期に外科治療を必要とした91症例ではLVEDV, LVSVともに小さくそれぞれ正常の65±11%及び51±13%で大部分が短絡手術の適応であった. 以上よりTOFの術前のLVEDV, LVSVは疾患の重症度をより反映しており, 根治手術の限界はLVEDVでは正常の60%, LVSVでは正常の50%と考えられる. 但し側副血行路の発達した年長例では, そのための左室容積の増加を考慮に入れる必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 左室拡張末期容積, 左室一回拍出量, ファロー四徴症の術後血行動態
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