Abstract : |
不整脈性右室異形成はまれな疾患であり, 本邦ではその臨床及び手術所見についていまだ十分理解されていない. 1983年12月までに当科で手術した心室性頻拍13例中3例が不整脈性右室異形成であった. 全例薬剤抵抗性の心室性頻拍を呈し, 心電図, プログラム刺激法を用いた心腔内電位記録, 右室造影において特徴的所見を有した. 特に遅延興奮電位の存在は, 本症における心室性頻拍がリエントリー性である可能性を示唆した. 術前及び術中の電気生理学検査に基づき手術療法を行い良好な結果が得られた. 手術方法としては, 心筋切開凍結併用療法及び心筋切除凍結併用療法が有効であった. 頻拍起源部位と遅延興奮電位検出部位の廃絶が, 根治手術の達成に重要と考えられた. しかし, 右室全体に広範に病変を有する症例や, 左室起源の頻拍をも合併する症例では, なお今後の検討を要するものと考えられた. 右室異形成は主として右室心筋を侵す原因不明の疾患で, 心室性期外収縮や心室性頻拍など何らかの不整脈を主症状とする場合は, 不整脈性右室異形成(Arrhythmogenic Right Ventricular Dysplasia)と呼ばれる. |