アブストラクト(33巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 気管分岐部切除に関する全国集計
Subtitle : 原著
Authors : 山口豊, 佐々木一義, 小川利隆, 崎尾秀彦, 小幡貞男, 籾木茂, 門山周文, 有田正明, 木村秀樹, 藤沢武彦
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学医学部肺癌研究施設外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 33
Number : 7
Page : 1078-1085
Year/Month : 1985 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 気管分岐部切除のわが国における現況を調査する目的で, 呼吸器外科を行っている全国100施設にアンケート用紙を送付し, 31施設から解答を得た. 気管分岐部とは分岐を含むブリーフの形をした軟骨の部分をいうと定義し, 分岐部の一部あるいは全部を切除する手術として調査を施行した. 31施設で103例に気管分岐部切除が施行された. 切除対象となった症例の年齢は10歳~75歳, 平均55歳であり, 男女比は85:18であった. 原疾患の内訳は悪性腫瘍89例, 良性肺腫瘍1例, 良性肺疾患13例であった. 悪性腫瘍のうち肺癌は83例, そのうち多いのは扁平上皮癌55例, 腺様嚢胞癌15例などで, 良性肺疾患で最も多いのは結核性病変の9例であった. 吻合術式は右, 左スリーブ肺全摘除がそれぞれ27例と8例, 左右主気管支2連銃式吻合と気管との吻合9例, 気管・気管支端々吻合と気管あるいは気管支の側壁と他側気管支端との側端吻合4術式の合計14例, 気管分岐部を含むスリーブ肺葉切除9例, 楔状分岐部切除18例, 分岐部切除後パッチによる形成9例, 人工気管によるもの7例であった. 縫合法は結節縫合が97例, 連続縫合は1例のみで, 5例は両者の併用であった. また全層縫合は92例, 粘膜下縫合10例, 両者併用1例であった. 使用縫合糸は初期の絹糸3例以外はすべて高分子材料による縫合糸で, そのうち44例は吸収糸であった. 手術死は24例(23%)で, その死因はair leakageを含む縫合不全が12例, 呼吸不全3例, 消化管出血2例などであった. 晩期死亡で癌再発死は9例(9%)であった. 気管分岐部切除例の遠隔成績は5年生存率48.7%, 悪性腫瘍例では43.5%であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管分岐部切除, 気管分岐部形成術, 気管分岐部再建術, 気管・気管支端々吻合, 気管又は気管支・気管支側端吻合
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