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森下靖雄, 丸古臣苗, 有川和宏, 山下正文, 豊平均, 湯田敏行, 宮崎俊明, 下川新二, 大園博文, 平明 |
| Abstract ： |
1978年8月以来5年間に, 400例のcold blood potassium(CBP)cardioplegia開心術症例を経験したので, その心筋保護効果を検討した. 症例を先天性心疾患(I群：141例), 後天性弁膜疾患(II群：220例), その他の後天性疾患(III群：39例)に大別した. I群の年齢は8ヵ月～59歳(平均16歳), 男女比はほぼ同じで, 非チアノーゼ及びチアノーゼ疾患はそれぞれ104例, 37例であった. II群の年齢は21～66歳(平均43歳), 男女比はほぼ同じで, 単弁及び多弁手術はそれぞれ165例, 55例であった. III群の年齢は26～66歳(平均53歳), 男女比は30対9であり, 虚血性心疾患(26例), annuloaortic ectasia(6例)が主なものであった. 大動脈遮断時間はI, II, III群で70±40, 110±40, 89±52分(Mean±SD)であった. cardiac-relatedの病院死亡率はI, II, III群で, それぞれ6.4%, 3.6%, 10.3%であった. 全遠隔死亡率はI, II, III群でそれぞれ2.8%, 2.3%, 2.5%であった. 弁手術症例(II群)中, 長時間(150分以上)大動脈遮断を要した症例及び左室心筋肥大の著明な大動脈弁手術症例でのcardiac-relatedの病院死亡率はそれぞれ3.7%, 3.6%であった. また, 心機能不良症例(ejection fraction 0.4以下)での死亡は, 病院及び遠隔期を含めてMOFの1例(5.6%)のみであった. CBP cardioplegiaによる可及的急速な心停止と, hypothermiaを組み合わせることで, 長時間及び心機能不良な開心術症例でもほぼ満足できる手術成績を示した. 体外循環回路血にK+を加え, 冷却して使用するCBP cardioplegiaはcrystalloid cardioplegiaに比べ, より生理的で安全域が広く実際的である. その心筋保護効果の優位性, 装置の簡便性及び操作の安全性などより, 推奨するに値する方法と考える. |
