Authors : |
橋本和弘, 堀越茂樹, 松井道彦, 鈴木茂, 小机敏昭, 佐々木達海, 中村譲, 中野雅道, 宮沢総介, 新井達太 |
Abstract : |
僧帽弁狭窄症の手術術式とその効果について, 左室容積変化の定量解析により検討を行った. 左室造影シネフィルム(48コマ/sec)を2フレーム(56msec)ごとにコンピューターに画像入力し, 我々の開発した解析プログラムにて処理を行った. 解析はDodge式より左室容積を求め, 時系列変化として左室容積曲線を求めた. 更に左室容積変化を時間微分したdV/dt曲線も同様に求めた. 手術効果判定の指標としてこれら曲線より求めたEDV, ESV, SV, RVF(rapid ventricular filling), SdV/dt, DdV/dt(peak systolic ventricular ejection, peak diastolic ventricular filling)を用いた. 対象はMS 20例でSellors I型(OMC)4例, II型(OMC)6例, III型(OMC)5例, III型(MVR)5例である. (1)EDVIはSellors I・II型群にて低値, III型(OMC)群にて正常値, III型(MVR)群にて高値を示した. ESVIはI型を除き高値を示し, 特に弁病変高度例ほど高値であった. (2)左室収縮期駆出様式, 拡張期流入様式ともに障害を認め, 特にSellors II・III型群にて著明であった. (3)Sellors I・II型群に対するOMCは, EDVIの増加, ESVIの正常化, SVIの増加を認め, SdV/dt, DdV/dtの増加に伴い, 左室収縮・拡張様式の改善が認められ, 満足な手術効果が得られた. (4)Sellors III型群に対するOMCは, ESVIの減少, SdV/dtの改善に伴い収縮様式の改善は認められたが, EDVI, DdV/dtの改善を認めず, 拡張様式に関しても改善は得られなかった. 一方, III型(MVR)群では収縮・拡張様式の双方に改善が認められた. Sellors III型群においては術後左心機能よりみると, OMCよりもMVRの方が優れた術式と考えられた. |