Abstract : |
心臓手術において必要な輸血という問題に際して血液節減と術後出血を可及的少なくする目的で, 開心術直後に大量濃縮血小板輸血(Platelet Concentrate輸血, 以下PC輸血とする)を施行した. 開心術370例を対象とし, まず対照として血液充填体外循環症例40例をPC輸血群とPC非輸血群に分け, 術後出血量について比較検討し, 次いでPC輸血症例(330例)について血液充填体外循環群と無血填体外循環群に分け, 術後出血量, 術後輸血量, 及び輸血後肝炎併発率, 抗血小板抗体陽性率について比較検討し, 以下の結論を得た. 1. PC輸血は体外循環後の術後出血に対して明らかに有効な止血効果を示した. しかし抗血小板抗体陽性例では無効であった. 2. 無血体外循環群では血液充填体外循環群に比し, 術後出血量は約41%の減少を認め, 総:輸血量は約2,000~3,000mlの節減となった. 輸血後肝炎併発率はほぼ半減した. 3. 無血充填体外循環群で, 体外循環時間90分以下, あるいは総輸血量3,000ml以下の症例では輸血後肝炎は併発しなかった. 4. 開心術後の輸血後肝炎は非A非B型肝炎が92.5%とほとんどを占め, その56.7%が遷延・慢性化したが, B型肝炎はすべて治癒した. 5. 抗血小板抗体陽性例はPC輸血症例330例中, 6例で, 抗血小板抗体陽性率は1.8%であった. |