アブストラクト(34巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 断層心エコー図による僧帽弁狭窄症の重症度評価
Subtitle :
Authors : 岡村健二, 榊原謙, 小石沢正, 筒井達夫, 酒井章, 前田肇, 井島宏, 三井利夫, 堀原一
Authors(kana) :
Organization : 筑波大学臨床医学系外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 8
Page : 1109-1115
Year/Month : 1986 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : MSの術前における術式判定を目的とした断層心エコー図による弁機能評価基準の臨床的有用性について検討した. 弁機能評価は僧帽弁前尖の前交連, 中間部, 後交連の三点における弁尖の可動性の程度と弁及び弁下構造の輝度の増高の程度を基準として行い, その重症度によりI型(ドーム形成型), II型(中間型), III型(塊状構造型)に分類した. 臨床応用の可能性の判定指標として術前後の左室後壁の動きと左房容積残存率を用いて比較検討した. I型ではOMCが, III型ではMVRが妥当な術式であった. しかしながらOMCを受けたII型群では, 術後の両指標の改善率の悪い症例が多くみられ, mitral complexの可動性を主として評価したpitfallと考えられた. 高い流出口抵抗により緊満した左房をwindkesselと考えると, 左房のbooster pumpとしての作用をも考慮に入れることが必要であると考えられ, ポンプ作用として重要な左房壁弾性の指標として一回左房心拍出係数(LASVI)を測定した. LASVIはI型よりはII型, II型よりはIII型と低値を示し, 弁病変進展度と左房壁弾性の低下との有意な相関を認め, 術後の左房容積縮少率(LAVDR)も同じOMCを受けたI型よりはII型が悪く, 殊にLASVIが2ml/mmHg以下を示すII型群ではLAVDRが20%以下を示し, LASVI値の最も悪いIII型群ではMVRによってII型群よりすぐれたLAVDR値が得られていることからMVRの適応が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁狭窄症, 断層心エコー図, 直視下交連切開術, 僧帽弁置換術, 一回左房心拍出係数
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