Abstract : |
肺高血圧症を伴う1歳未満乳児期心室中隔欠損症について, 各種心筋保護法の臨床的比較検討を目的として, 対象44例を次の3群に分類した. I群:軽度低体温体外循環, 電気的心室細動下に1回10分以内の間欠的大動脈遮断を行った13例, II群:中等度低体温下に大動脈遮断, 及び20分ごとのGIK cold cardioplegiaと心局所冷却を併用した14例で, このうちの6例は大動脈遮断解除後短時間の電気的心室細動を併用した症例で, これをII-A群とし, 他の8例(II-B群)と区別した. III群:超低体温下の循環遮断と冷却晶質液持続冠灌流を併用した17例. 手術死亡はI群で2例認めたが, II, III群ではみられなかった. 術後尿量はI群に比し, II群(0.01<p<0.025), III群(p<0.005)で有意に多かった. 自己心拍出現率, 術後気管内挿管日数, 術後カテコラミン投与量についても, I群に比し, II, III群で良好な結果が得られたが, 術後血清酵素最高値についてはII, III群間で大差なかった. 以上より, I群に比し, II, III群で手術成績の向上と, 優れた心筋保護効果が得られた. |