Abstract : |
乳幼児, 小児における末梢動脈圧波形を分析し, 心機能と関連づけて分析を行い, 新しい分類を試みた. 対象は先天性心疾患で開心術を行った45名で術後194回の熱希釈法による心拍出量の測定を行った. この測定と同時に橈骨動脈圧波形を心電図とともに記録した. 動脈圧波形と一回拍出量, 末梢血管抵抗の関係から, 圧波形が循環動態をどのように反映しているかを検討した. その結果, 末梢動脈圧波形はその形より三峰性の波をI型, 二峰性の波をII型, 一峰性の波をIII型に分類した. そのうちI, II型は, a, bの亜型にそれぞれ分類可能であった. I, II型とも, 末梢血管抵抗はa型はb型より低値を示し, 心機能は, I型, II型, III型の順に低下した. 正常波形はIaで一回拍出量, 末梢血管抵抗とも良好であった. Ibは一回拍出量は良好でIaと有意差がないが末梢血管抵抗は他に比べて有意に高く, 相対的なhypervolemic waveもしくはvasoconstricted waveと呼ぶことができた. II型はI型に比して一回拍出量が有意に少なく, そのうちのIIaは末梢血管抵抗が有意に低く, 相対的なhypovolemic waveもしくはvesodilated waveと呼ぶことができた. III型は臨床的に高度の低心拍出状態を呈し, 大量のカテコールアミンと血管拡張剤とを併用しても循環管理が困難なものが多かった. III型から回復する場合はII型を経てI型へ移行した. 末梢動脈圧波形は常時モニターでき, 連続的な血行動態の把握が困難な乳幼児では, その波形を分析することにより血行動態の変化を素早く把握でき循環管理上有用であった. |