Abstract : |
全国の心臓外科施設を対象に心筋保護法に関するアンケート調査を行い, 122施設よりの解答を分析したので, その概要を報告した. 体外循環法では, ポンプ流量, 及び体外循環中の深部温は, 2.3~2.5L/min/m2, 又は70~90ml/kg/min, 及び25.0℃~27.0℃の範囲が最多であった. しかしながら, 体外循環中, 心臓のisolationを厳密に施行している施設は43%と, 半数以下であり, またReperfusion injuryの予防目的のために大動脈遮断解除時の灌流法に工夫をこらしている施設は, 66%であった. その方法として灌流量, 灌流圧の意図的低下が主であった. Topical coolingは117施設とほとんどの施設が使用しており, また心筋保護液についても, Crytalloid cardioplegic solutionが106施設と圧倒的であった. このうち細胞内液タイプは57施設で, 細胞外液タイプは49施設で使用されていた. これら心筋保護液の酸素化は16施設において施行されているのみであった. 一方, Blood cardioplegia使用施設は, 29施設であり, そのHt値は20~25%が最多で, 注入温度も12℃以上が最多であった. 一方, oxygenationは29施設中24施設が施行しており, その有効性を主張していた. Blood cardioplegia使用施設はそのほとんどが, Crystalloid cardioplegiaより有利という印象を有していた. 日本の心筋保護法は, 今なお, Crystalloid solution+Topical coolingによる方法が主であるが, その詳細な方法は, 施設により異なることが判明したが, どの方法が主流かについての結論は出し得なかった. しかし, 数多くの問題点が提起されたことは, 将来のこの分野の確立に意義あるものと推測された. |