Authors : |
三谷惟章, 下高原哲朗, 山王邦博, 西島浩雄, 有村利光, 馬場国昭, 田中俊正, 加治佐隆, 富加見章*, 川井田孝* |
Abstract : |
術後病期Ia期肺癌の予後の関連因子について, 腫瘍の臨床病理学的立場からの検討は多く行われているが, 宿主因子, 治療因子を含めての検討は少ない. 著者らはIa期肺癌について上記因子に肺内・肺門の病理学的検索を加えて予後因子を総括的に検討した. 対象は縦隔完全郭清, あるいは不完全郭清の60例で宿主因子(性別, 年齢), 腫瘍因子(組織型T因子, 胸膜浸潤, 肺内リンパ節転移, 肺内肺門の脈管侵襲)及び治療因子(縦隔郭清度, 術前BAI, 術後合併療法)において5年生存率をKaplan-Meier法により求め比較した. 結論:1. Ia期肺癌の5年生存率は72. 1%であった. 2. 推計学上有意差を認めたのは以下の4点である. a. 性差では女性が優位. b. 肺内リンパ節転移あるいは肺内・肺門の脈管侵襲の陽性例は陰性例より悪い. c. 術後合併療法として免疫化学療法群が化学療法群あるいは手術単独群より良い. d. 術前BAIは合併症の発現頻度が高いが耐術例の予後は良い. 3. 腫瘍の組織型, T因子, 胸膜浸潤からは予後の推定は困難である. 縦隔郭清術式からみると完全郭清と不完全郭清による差はなかった. 以上よりIa期肺癌の予後推測因子として肺内, 肺門の病理学的所見が重要であり, 成績向上には術後合併療法として免疫化学療法が必要と言える. |