アブストラクト(34巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁狭窄症手術に対する術式検討-特にmitral stenosis indexからみた術式選択について-
Subtitle :
Authors : 山田眞, 高場利博, 石井淳一
Authors(kana) :
Organization : 昭和大学医学部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 34
Number : 11
Page : 1909-1914
Year/Month : 1986 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 僧帽弁狭窄症(MS)において, 術前の心臓カテーテル検査, 左室造影検査から得られる各指標及びLibanoffらの報告したmitral stenosis index(以下, MS index)と, 実際に施行された手術術式との関係を検討した. 純型のMS及び僧帽弁狭窄を優位とする弁膜症55例を対象としたが, 特有の血行動態を示すと考えられる巨大左房症例は除外した. 対象55例の手術術式は, 弁形成を含む直視下交連切開術が24例(OMC群), 弁置換術が31例(MVR群)であり, 次の結果が得られた. (1)OMC群とMVR群とを比較すると, 収縮期肺動脈圧(PAP), 平均肺動脈楔入圧(mPCWP), 僧帽弁圧較差(MVG), 僧帽弁口面積(MVA), 左室駆出率(LVEF), いずれの値にも有意差は認めなかったが, MS indexはOMC群4.79±1.69(Mean±SD), MVR群9.31±2.64であり有意差(p<0.001)を認めた. 特にMS indexが6以下の症例21例中, MVRが施行されていたものは1例(4.8%)のみであり, 逆にMS indexが6以上である34例中では30例(88.2%)までがMVRが施行されていた. (2)術中観察による僧帽弁の状態をSellors分類によると, SellorsI型, II型, III型を示した症例のMS indexはそれぞれ4.38±1.17, 7.56±2.13, 11.03±2.93であり, いずれの間にも有意差(p<0.001)を認めた. 以上より, 巨大左房を伴わないMSにおいては, MS indexはSellors分類, すなわち僧帽弁の解剖学的変化を反映するとともに, 施行された術式との間にも良い相関を示したので, 術前の術式選択の1指標として意義を有すると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁狭窄の術式選択, mitral stenosis index, Sellors分類
このページの一番上へ