Abstract : |
最近のペースメーカー機器の進歩は著しく, 複雑, 且つ高性能な機能をもちながら, より小型で信頼性の高いジェネレーターと, 合理的にデザインされた耐久性の優れた電極が開発されている. これらのことと関連して, 乳幼児期ペースメーカー治療の方針を明らかにするため自験例に検討を加えた. 対象は乳幼児房室ブロックの6症例(乳児2例, 幼児4例)であり, 男女各3例, 植え込み時年齢は5ヵ月から5歳6ヵ月(平均2歳10ヵ月)である. 使用した電極はカテーテル電極2例, 心筋電極5例(このうち1例がカテーテル電極に変更)である. 心筋電極装着のアプローチは左前側方開胸2例, 胸骨正中切開3例であり, 後者のうち2例はVDDモードペーシング例である. 心房用心筋電極はstab-in型電極を用い, 心室用心筋電極は5例中4例に無縫着型を, 1例に縫着型を使用した. ジェネレーターポケットはカテーテル電極例では大胸筋下であり, 心筋電極の5例では胸郭内(胸膜外)2例, 左上腹部腹直筋下3例であった. 胸郭内植え込みの1例はジェネレーターポケットが化膿し, その後に形成された難治性痩孔の治療に難渋した. 他の1例も頻回の気管支炎症状を呈し, ペースメーカー植え込みと何らかの関わりを持つ可能性が考えられた. 心筋電極例では胸骨正中切開にて電極を装着し, ジェネレーターを左上腹部腹直筋下に作成する方針によったものが良好なペーシングが維持されている. |