Abstract : |
1981年1月から1983年7月までに教室で行われた後天性弁膜症手術例中, 左室心筋を採取し得た容量負荷心群(Vo群)25例, 僧帽弁狭窄症群(MS群)25例を対象とし, その心筋変性程度により各々を心筋保全群(I群), 変性群(II群)に区分し, 術前後の心機能推移, 心予備能を心エコー図法により検討することにより以下の結論を得た. 1. 術前安静時心機能では, MS群EDVI, 同ESVIでII群が有意に高値を示す以外, I, II群間に有意差は認あられなかったが, 運動負荷を行うことによりII群の心予備能の不良さが顕著となった. 2. 術後平均1年における安静時心機能において, Vo群, MS群ともにI群の改善度はII群に比し極めて良好であった. また, 運動負荷を行うことによりI, II群間は更に明瞭に区分され, 弁病変修復後もII群の心予備能は不良であった. 3. 心筋因子が術後心機能改善度及び心予備能に大きく関与していることが判明した. 4. 心筋収縮予備力である%ΔF. Sと心筋変性度とは, y=24.31-3.75x, r=-0.70(術前), y=25.27-2.91x, r=-0.66(術後)と極めてよい負の直線相関を示した. 5. 術前運動負荷を行い, その心筋収縮予備能を評価することにより, 心筋変性度, 術後改善度, 術後心予備能を予知できる可能性が得られた. |