Abstract : |
大動脈弁置換術において21mmサイズ以上の人工弁が使用できれば臨床的にほぼ満足できる血行動態が得られるとされている. 狭小弁輪症例を含め術式決定のために術前の弁輪直径測定が重要である. 今回われわれは, 弁輪直下流出路径と弁輪直上洞部径について, 同一サイズの人工弁を用いた症例を比較検討した. 大動脈弁輪拡大術を含めサイズ21mmの人工弁を使用した症例で大動脈弁の逆流が軽度で大動脈造影及び左室造影の鮮明な48例を対象とした. 施行手術はDVR 39例, AVR 9例, うち弁輪拡大術を施行した症例は5例であった. 左前60度の左室造影での流出路径と右前30度の大動脈造影での洞高径を測定したが, 両者の値が±2mmで一致したのは30例62.5%, 完全に一致したのは11例22.9%であった. 21mmサイズの人工弁が挿入可能であったにもかかわらず, 両者ともに21mm未満を示した症例はなかった. 21mmサイズの人工弁が挿入可能であっても測定値が21mm未満の症例は流出路径1例, 洞部径8例あり, 反対に弁輪拡大術を必要とした症例で前者1例, 後者3例は21mm以上の値をとった. 後者の誤差はcusp baseの不整によるところが多かった. 測定値が21mm以上あり弁輪拡大の不必要だったもの及び, 測定値が21mm未満で弁輪拡大が必要だったものをsuccessfulとすると, successful rateは前者95.8%, 後者77.1%であり心臓血管造影において弁輪直下流出路径をこの方法で測定する方が弁輪直上洞部径を測定するより有意差をもって優れていることがわかった. また大動脈弁輪拡大術を必要とする狭小弁輪症例においても流出路径測定は有用であった. |