アブストラクト(35巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 横隔膜弛緩症を合併した漏斗胸の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 山下良平, 渡辺洋宇, 花立史香, 市橋匠, 木元春生, 岩喬
Authors(kana) :
Organization : 金沢大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 3
Page : 392-395
Year/Month : 1987 / 3
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 4歳男児で漏斗胸に右横隔膜弛緩症を合併した症例を経験した. 患児は, 乳児期より漏斗胸を指摘されており, 呼吸器感染症を繰り返していた. 入院時, 前胸部は中等度変形の対称性漏斗胸を呈し, また胸部X線像や透視下の観察で右横隔膜全体が著しく挙上し, 全弛緩症と診断された. 本症例では両疾患に対して一期的に手術を施行した. 漏斗胸に対しては有茎胸骨翻転術を行い, 横隔膜弛緩症に対しては, 同一術野より横隔膜縫縮術を行った. 術後, 右中・下葉の低形成に起因すると考えられる横隔膜の再上昇をみたが, 術後2ヵ月には横隔膜はほぼ正常の位置に復し, 満足すべき結果を得た. 漏斗胸と横隔膜弛緩症の合併は, これまで本邦で1例の報告がみられるのみで, 本症例は文献的にも極めてまれなものである. 漏斗胸はその成因として遺伝的因子が重視されており, これに伴う他の様々な先天性疾患や奇形を合併することが知られている. 最近われわれは, 漏斗胸と横隔膜弛緩症を合併した症例を経験したが, このような合併例は文献的にも極めてまれであるので, 若干の考察を加えて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 漏斗胸, 横隔膜弛緩症, 有茎胸骨翻転術, 横隔膜縫縮術
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