アブストラクト(35巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の細胞性免疫能の変動-体外循環時間により分類した3群間の比較検討-
Subtitle :
Authors : 久冨光一, 磯村正, 川良武美, 赤川治夫, 柳泉, 島弘志, 青柳成明, 小須賀健一, 大石喜六
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 35
Number : 8
Page : 1112-1118
Year/Month : 1987 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術を施行した29例を対象に, 人工心肺時間により3群に分類し, その影響を解析した. I群は体外循環(CPB)時間90分未満(7例), II群はCPB時間90分以上180分未満(15例), III群は180分以上(7例)とした. 測定は, モノクローナル抗体を用いてOKT3+細胞, OKT4+細胞, OKT8+細胞, sheep red blood cells(SRBC), immunobeadsを用いてT細胞, B細胞の百分率, phytohemagglutinin(PHA), concanavalin A(Con A)に対するリンパ球幼若化反応, 白血球数, リンパ球百分率, 血中コルチゾールについて行った. また各症例については術前, 術後3時間, 術後2日目, 7日目の4検体採取し, 比較検討した. CPB時間により分類した各群間では, 2日目のPHAによる幼若化反応で, I群が他2群に比べ術前同様高い反応を示し(p<0.01), 7日目のOKT3+細胞ではI群がIII群に比べ有意の低下(p<0.05)を示していた. OKT4+細胞/OKT8+細胞(4/8), 及びPHA, Con Aによるリンパ球幼若化反応では, 術前値ですでにI群とIII群で差を認めていた(p<0.01). 血中コルチゾール値は, いかなる測定値とも有意の関係を認めなかったが, 術後の白血球数の推移と何らかの関連を示唆していた. 以上より, CPB時間は, 術後リンパ球各群及びリンパ球幼若化反応に大きな影響を及ぼさないことが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環時間, モノクローナル抗体, リンパ球幼若化反応, 血中コルチゾール値
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