アブストラクト(36巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症術後遠隔期における心室性期外収縮と術後諸因子の検討 ―特に右室局所壁運動を中心に―
Subtitle : 原著
Authors : 郡良文*, 須磨幸蔵, 城間賢二, 小山雄次
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学附属第2病院心臓血管外科, *岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 3
Page : 360-365
Year/Month : 1988 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ファロー四徴症(TF)根治手術時の右心流出路に加えられた侵襲が, この部位の局所壁運動を障害し, これが右室全体としての収縮に影響を及ぼしていることが予想される. 昭和49年1月から昭和56年3月までに根治手術を受け, 術後5年以上経過したTF患者中19例を対象とし, 心室性期外収縮(VPC)と術後諸因子, 特に右室局所壁運動との関連について検討した. トレッドミル運動負荷検査, 又はホルター心電図にて認められたVPCの重症度によって, A群(11例, Lown分類0度と1度)と, B群(8例, Lown分類2度以上)に分け, 2群間で右室局所壁運動及び術後諸因子を比較した. 局所壁運動は, TF術後平均1.5年で行った右室造影側面像にて, 肺動脈弁輪の中心方向から右室前壁方向へ15度ごとに三尖弁基部まで分割した各領域ごとの局所面積駆出率として求めた. B群の右室流出路における局所壁運動は, A群に比して有意に低下し, 全例無動, 又は奇異性運動を示していた. 他の因子に関しては, B群の右室左室収縮期圧比(RV/LV)がA群よりも有意に高値を示していたが, それ以外の因子間には有意差を認めなかった. またRV/LVが0.5以上と0.5未満の2群に分けて右室流出路における右室局所壁運動を比較すると, 前者の局所壁運動は有意に低下していた. これらより, ファロー四徴症術後遠隔期にみられるVPCの発生に, RV/LVの高値及び右室流出路における壁運動の低下, 奇異性運動の関与が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ファロー四徴症, 右室局所壁運動, 不整脈, 右室左室収縮期圧比, 心室性期外収縮
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