アブストラクト(36巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腺腫の治療成績
Subtitle : 原著
Authors : 磯辺真, 西村寛, 岩田定幸, 奥洋, 堀内雅彦, 林田良三, 枝国信三, 武田仁良, 掛川暉夫
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 6
Page : 955-960
Year/Month : 1988 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近20年間に教室で外科的治療が行われた胸腺腫33例を対象とし, 組織型, リンパ球混在比, 重症筋無力症の有無, 進行度, 治療内容と予後との関連性, 更に浸潤, 遠隔転移部位などにつき検討した. 胸腺腫の予後不良因子としてはround and oval型でリンパ球混在比の低いもの, 浸潤型, 特に遠隔転移を認めた正岡臨床病期のstage IV, 亜全摘に終わったもの, 術後非照射例などで, 遠隔転移部位は骨, 肺, 肝及び縦隔, 肺門, 鎖骨上リンパ節であった. 5生率は70.4%, 10生率63.3%, 被包型の5生率84.1%, 浸潤型では43.6%であったが, 死因についてみると被包型では再発死は1例で, 他は重症筋無力症2例, 赤芽球癆1例, 老衰によるもの1例である. 浸潤型ではstage II症例で術後照射がされなかった1例とstage IVの全例が腫瘍死していたが, stage IIIでは亜全摘例も含め生存中であった. 以上より浸潤型に対しては浸潤臓器の合併切除によりできる限り全摘出を行うが, 不幸にして大動脈への広範な浸潤などで亜全摘に終わった場合でも照射により十分延命が期待できると思われた. しかし遠隔転移や播種のみられるstage IVでは予後不良であり, より効果的な化学療法の確立が望まれる. 一方, 被包型であっても術後組織学的検索で悪性度が高いと判断された症例に対しては浸潤型と同様, 補助療法の必要性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸腺腫, 胸腺腫の予後因子, 胸腺腫の治療, 胸腺腫の治療成績
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