Abstract : |
大血管, 気管気管支, 胸椎, 腕神経叢などの隣接重要臓器に癌巣が遺残して不完全切除となった肺癌, 食道癌に対する治療は, 本邦では, 術後癌遺残部への外部照射が通常行われてきたが, その治療成績は不良であった. Hilarisはその対策として, 例えばPancoast肺癌不完全切除例の癌遺残部に125Iを永久刺入し, 更に外部照射を加えることにより, その5年生存率を術後外部照射単独例の5%から30%に向上させたと報告している. しかし125I永久刺入法の併用は, 術者の被曝が避けられない問題点があり, また法的制約があるため, 本邦では実現が難しいのが現状である. そこで著者は125I永久刺入に代る方法として, 術者被曝が少なく, 現実に現在本邦で実現可能な192Irのafterloading法による密封小線源治療を, 術後の癌遺残部に行うことを目的として, 器具の開発を行い, 昭和56年以後Pancoast肺癌症例, 食道癌大動脈浸潤例, 食道癌気管気管支浸潤例に臨床応用し, その有用性を臨床的に検討した. その結果生存期間の延長は, 遠隔転移などのために得られなかったが, 第1, 2肋骨胸椎の骨融解があり, 腕神経叢症状をともなったPancoast肺癌の局所再燃防止に有用であり, 食道癌大動脈浸潤例, 食道癌気管気管支浸潤例の局所再燃防止に有用な傾向を認めた. |