アブストラクト(36巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左心バイパス異所性心移植に関する実験的研究-特に移植後急性期における右心系の動向について-
Subtitle : 原著
Authors : 八木進也, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 36
Number : 11
Page : 2380-2387
Year/Month : 1988 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Barnardらによる, 初の心臓移植の臨床応用に先立つ60数年前から, 様々な実験的試みがなされてきている. 臨床の立場では, 同所性移植が1つの外科的治療法として確立されつつあるが, いまだ解決すべき問題を多々かかえている. これらに対する研究方法の1つとして, 異所性心移植は重要な役割を果たしている. 現在も種々の研究がなされているが, 右心系の動向に注目した研究は, いまだ少ない. そこで, 今回著者は雑種成犬を用いて, 人工心肺を用いずに左心バイパス異所性心移植を施行し, 実験モデルを作成した. donor心の左右心室ピーク圧(LVP, RVP), 拡張末期圧(LVEDP, RVEDP), 心筋局所組織血流量(LVMBF, RVMBF), 大動脈・肺動脈血流量(Ao flow, PA flow), 1回拍出仕事量(LVSW, RVSW)を測定し, 冠静脈血流のみを受ける非生理的状態にある右室の動向について, 移植前control値, 移植後30分及び90分値を比較して検討を加えた. 移植後30分では, RVMBF, RVSWは著明な低下を示した. RVP, RVEDPは上昇傾向を示し, これらの値は, ほぼcontrol値のレベルとなった. 左心室については一定の傾向は認められなかった. 移植後90分には右心室は, ほぼ移植前と同レベルの機能となり, この回復には, 脱神経された移植心の特異な冠循環調節機能と右室自身の持つ特異な駆出力発現のメカニズムの関与が示唆され, 循環動態の急変にも右心室が早期に順応するものと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 異所性心移植, 右室機能, 冠循環
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