アブストラクト(37巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : A-Cバイパス術後遠隔期のグラフト開存に関する検討
Subtitle : 原著
Authors : 中井義廣, 片岡善彦, 坂東正章, 滝浩樹, 日浅芳一, 和田達也, 森本眞二, 浜井一人, 相原令
Authors(kana) :
Organization : 小松島赤十字病院循環器科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 1
Page : 123-129
Year/Month : 1989 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : A-Cバイパス術後遠隔期(平均29カ月)のグラフトの開存性に関して, どのような因子が影響しているかを検討した. 開存したグラフト(開存群)と閉塞したグラフト(閉塞群)では, 開存群の方が術後に定期的な運動が行えていた. 術後遠隔期の血清尿酸値は, 開存群が閉塞群より有意に低かった. HDL-コレステロール値は, 開存群が閉塞群より有意に高かった. 術中測定した冠動脈血管径は, 開存群が閉塞群より有意に大きかった. グラフト流量は, 開存群が閉塞群より有意に多かった. グラフトのpatencyと各説明変数間には, 冠動脈血管径, 術後の定期的な運動, HDL-コレステロール値がそれぞれ有意な正の相関関係を示した. 血清尿酸値とは, 負の相関関係が認められた. 基準偏回帰係数ではpatencyと冠動脈血管径, HDL-コレステロール値との間にそれぞれ有意な正の相関関係があった, 各説明変数間の相関では, 冠動脈血管径とグラフト流量, グラフトの方法とグラフト流量HDL-コレステロール値と定期的な運動の間にそれぞれ有意な相関関係を認めた. 変数増減法により求めたグラフト開存に寄与する説明変数は, 冠動脈血管径, 術後の定期的な運動, 血清尿酸値, HDL-コレステロール値の4項目であった. この4複合因子の重相関係数は0.562(p<0.01)で, 寄与率は31.6%であった. 以上より, A-Cバイパス術後遠隔期において, グラフト開存率をより高値に保つためには, 定期的な運動を行うと共に, 食事療法が重要と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : A-Cバイパス術, 遠隔期グラフト開存性, 定期的な運動, 食事療法
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