アブストラクト(37巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 実験的心肺同時移植後の胸部X線写真上の変化と病理組織学的所見との比較検討
Subtitle : 原著
Authors : 川内基裕, 古瀬彰, マティソン恵, 横井泰, 中島淳, 吉竹毅*, 岡輝明**
Authors(kana) :
Organization : 東京大学医学部胸部外科, *埼玉医科大学総合医療センター第1外科, **東京大学病理学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 3
Page : 455-462
Year/Month : 1989 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 日本猿を用いて, 同種同所心肺移植実験を行い, 2~33日間生存した12頭について死亡後に病理組織学的検索を, そのうち2頭については開胸肺生検を行った. このうち7頭については術後胸部X線単純写真を撮影し, その所見を組織学的検索の結果と比較検討した. その結果, 肺野の中枢側の強い浸潤陰影, 並びに間質陰影の増強が2~3日以内に出現し, 5~8日後にピークに達してその後軽快することが胸部X線写真で認められた. 組織学的検索との比較では, この所見は細胞浸潤を伴わない肺胞の浮腫並びに血管周囲の浮腫の状態においても認めることができた. また胸部X線写真上の初期の変化が改善した時期に肺生検によって, 肺血管への単核球の浸潤が認められた. 肺の浸潤陰影が20日後に認められた猿が1頭あるが, これは拒絶反応による肺実質の変化のためと考えられた. 心肺同時移植後の胸部X線単純写真は, 術後のreimplantation response並びに進行した拒絶状態の発見には有用であるが, 拒絶反応の早期診断には難点があると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心肺移植, 日本猿, 胸部X線写真, 病理組織, reimplantation response
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