アブストラクト(37巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 感染性心内膜炎に対する外科治療の臨床的検討
Subtitle : 原著
Authors : 大滝正己, 北村信夫, 美濃地忠彦, 山口明満, 三木太一, 福島靖典, 飯田浩司, 田村栄稔, 足立孝
Authors(kana) :
Organization : 国立大阪病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 4
Page : 600-605
Year/Month : 1989 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 感染性心内膜炎(IE)の治療につき, 自己弁心内膜炎(NVE)と人工弁置換後心内膜炎(PVE)に分類しその問題点について検討した. 対象は1981年1月から1987年4月まで当科で経験したIEで, NVEは18例, PVEは15例であった. この合計33例につき起炎菌, 基礎疾患, 合併症, 手術適応, 手術時期及び治療成績について検討を加えた. NVE群では起炎菌としてα-Streptococcus, これに対しPVE群ではStaphylococcus epidermidisが大勢を占めた. NVE群の50%に何らかの心疾患が基礎となったが, PVE群では基礎疾患及び誘因は明確でなかった. IEの塞栓症については脳硬塞がNVE群では1例のみであったのに対し, PVE群では3例に発生し, しかも重篤な脳障害を引き起した. 手術適応は, NVE群では難治性の心疾患のため手術となった症例が50%, その他, vegetation, 抵抗性感染と続いた. PVE群では難治性心不全, 抵抗性感染が手術適応となったがvegetationを認めた症例はなかった. 手術時期及び手術成績では活動期手術22%, 治癒期手術78%で, 活動期手術例の1例を脳硬塞で失ったが, 他の症例は経過良好であった. PVEでは, 生体弁PVE群は抗生物質により感染の消退が得られた治癒期に手術可能であった. しかし, 機械弁PVE群は7例に手術が行われたが活動期手術は5例で, 特に僧帽弁位PVEの2症例では急激に血行動態が悪化し手術時既にショック状態に陥り救命し得なかった. IEの外科治療はNVE及び生体弁PVEではほぼ安定した成績が得られた. しかし, 機械弁PVEの予後は不良で血行動態が悪化する前により早期の診断, 外科治療が必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 感染性心内膜炎, 自己弁心内膜炎, 人工弁置換後心内膜炎, 生体弁PVE, 機械弁PVE
このページの一番上へ