Abstract : |
73歳男性, 急性I型解離性大動脈瘤に, 大動脈弁閉鎖不全. 心タンポナーデを合併し, 心原性ショックを呈した症例に対し, 発症2時間後に緊急手術を施行し良好な結果を得たので報告する. この症例の術中所見は, 大動脈基部破裂と右冠動脈断裂を伴っており, 従来の上行大動脈人工血管置換と大動脈弁置換, 又は弁つりあげ術では対処不可能な症例であった. このような症例にcomposite graftを用いる術式に加え, 左冠状動脈はcarrel patch手技にてくりぬきgraftに直接吻合し, 右冠状動脈に大伏在静脈にてCABGを加えて, 大動脈基部再建を行った. 術後経過は良好である. 急性I型解離性大動脈瘤の外科治療の成績は向上しつつあるが, いまだ本疾患の早期外科治療に関しては多くの問題があげられている. 今回われわれは, 心原性ショックを呈した急性I型解離性大動脈瘤に対し, 緊急手術を施行し良好な結果を得た.本症例の術中所見にて, 大動脈基部破裂と右冠動脈断裂を認めており, 冠動脈再吻合を含む大動脈基部再建法に若干の工夫を行っているので, 文献的考察を含め報告する. |