Abstract : |
症例は77歳の男性. 両側巨大気腫性肺嚢胞症にて内科治療を受けていたが気道感染を契機に, 残存していた右中葉が無気肺となりブラの増大傾向が認められた. これに伴いPO2 32.7Torr PCO2 76.2Torrと低酸素高炭酸ガス血症となり, 更に頻脈, 血圧の変動など血行動態が不安定となったため, 緊急に胸骨縦切開にてNaclerio-Langer法に準じ一期的に両側肺嚢縫切除縫縮術を行った. 術後は呼吸不全など, 合併症の発症もなく順調に経過し, 1年3カ月を経過した現在, 日常生活に何ら支障なく生活している. 胸骨縦切開による両側同時手術は, 両側肺を一期的に処置できること, 体位変換の必要がないこと, 手術操作が容易で手術時間が短縮できること, 術後疼痛が少ないことなどの利点を有しており, 両側巨大気腫性胆嚢縫症, 特に自験例のような高齢者, 緊急例において, 極めて有用と思われたので文献的考察を加え報告する. 最近, 本邦においても両側巨大気腫性肺嚢胞症(以下巨大ブラ)の手術に対し胸骨縦切開による両側同時手術が施行され良好な成績が報告されている1)~5). |