| Authors ： |
山本直樹, 数井暉久, 大川洋平, 小松幹志, 荒木英司, 田中明彦, 田中利明, 小松作蔵, 久保田昌宏* |
| Abstract ： |
A-Cバイパス術を施行した58症例を対象として, 術前後に運動負荷201Tl心筋single photon emission computed tomography（SPECT）を施行し, circumferential profile法を用いて心筋viabilityを定量的に判定した. 更に, 左室造影所見からejection fraction及び左室局所心筋壁収縮率（%RS）を算出し, 前者と比較検討し, 以下の結果を得た. 1.201Tl心筋SPECTにて完全再分布を示す領域（CR）は, 術後虚血部の局所灌流量の完全回復が期待されるが, 術前後の局所壁運動に有意差はなかった. （Σi%RS：142.5±54.7→138.4±39.6, Σa%RS：201.2±51.1→238.2±68.2）2.不完全再分布を示す領域（IR）は, 心筋梗塞領域であるが, 術後局所壁運動も有意に改善し（Σi%RS：68.8±25.9→154.9±42.6, p＜0.01, Σa%RS：108.4±62.3→198.9±77.6, p＜0.05）, 狭心症例とほぼ同等の壁運動にまで改善し得ることが期待される. 3.再分布をほとんど示さない領域（NR）は, ほとんどが瘢痕化, 線維化した心筋で占められており, グラフトが開存しても局所壁運動の有意な改善は期待できない. （Σi%RS：67.8±24.1→83.9±19.2, Σa%RS：86.0±29.0→94.0±33.9）以上より, 運動負荷201Tl心筋SPECTは, タリウムの心筋への三次元的分布状態の把握が容易であり, 特に, 心筋梗塞領域における心筋viabilityを正確に判定し, A-Cバイパス術後の効果判定及び適応決定に極めて有力な手段である. |
