アブストラクト(38巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : イヌ同所性心移植補助手段としての交叉体外循環法-術中術後の血液生化学検査値の変動からみた有用性の検討-
Subtitle : 原著
Authors : 伊東正文, 神吉豊, 村山祐一郎, 夜久均, 河内秀幸, 相川一郎, 大賀興一, 岡隆宏
Authors(kana) :
Organization : 京都府立医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 12
Page : 2370-2375
Year/Month : 1990 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 補助手段として交叉体外循環法(CC)を導入し, 長期生存犬を得ることを目的に, 8回のイヌ同所性心移植を行った. これらにおける術中術後の血液生化学検査値の変動から, 本法のイヌ同所性心移植における補助手段としての有用性を検討した. CCのsupport犬としてrecipient犬の約3倍の体重の雑種成犬を用いた. Support犬とrecipient犬の麻酔法を変え, CC中のsupport犬の収縮期血圧を150mmHg以上に, またsupport犬とrecipient犬の収縮期圧較差を50mmHg以上に維持しながら同所性心移植を行った. 免疫抑制剤は, ciclosporinとprednisoloneを用いた. 術後早期に呼吸循環動態は安定し, 術後1~3日目に全例抜管可能であり, 6例が2週間以上生存した. 術中のrecipient犬の血液生化学検査値を人工心肺下と比較すると, LDH, LAの変動は非常に小さく, 遊離Hbは全く検出されず, またT. P., Ht. もよく保たれていた. 術後の血液生化学検査値のうち, CPK, CPKMB, GOT, GPTに大きな変動が見られたが, 術後2週間以内に回復した. CCはイヌ同所性心移植に際して, 血液損傷や凝固因子の消費及び血液希釈がないため, 溶血や出血の減少, 膠質浸透圧の保持などが得られ, また血液生化学検査値上, 重篤な臓器障害も認めなかったことより, 補助手段として有用であると考えられた. また, 術後の血液生化学検査値の変動からみて, 術後2週間経てば手術侵襲の影響はなくなり, 同所性移植心の慢性モデルとなり得ると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 交叉体外循環法, 補助手段, イヌ同所性心移植, 血液生化学検査値
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