アブストラクト(39巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肝静脈左房交通を利用したFontan手術による両大血管右室起始症の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 平山統一, 今井康晴, 黒澤博身, 中江世明, 福地晋治, 星野修一
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 1
Page : 76-80
Year/Month : 1991 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 5歳男児, 両大血管出品起始症, 僧帽弁閉鎖, 右胸心, 肺動脈狭窄, 肝静脈左房交通の診断にてFontan手術を行った. 術前カテーテル検査にて平均肺動脈圧が18mmHgと手術適応の上限を示していた. 術中の圧測定では肺血管抵抗は2.4単位・m2ではあったが術後の右心不全発生が危惧された. そこで, 異常還流肝静脈をテフロンテープで絞扼することにより軽度右→左短絡を残存させて術後急性期を乗り切ることが出来た. Fontan型手術の適応上限または適応外の症例に対しては体外短絡路を増設することにより術後急性期の心不全期を乗り切れることが期待される. Fontan術後の高肺血管抵抗による心拍出量の減少を防ぐためにFontan手術に加え患児の右肝静脈の左房への還流異常による右→左短絡路を利用した手術を行った. この術式により術後急性期の心室拍出量を十分に確保することができ, 円滑な経過を示した. この術式は, 今後も解剖学的に可能であればFontan手術の適応基準を逸脱した複合心奇形の機能的根治手術として, 外科治療の方針に1つの選択可能手技を加えるものと考えるので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Fontan手術, 高肺血管抵抗, 体外短絡路, 両大血管右室起始症, 肝静脈左房交通
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