アブストラクト(39巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸骨全摘出及び有茎大網移植を行った冠状動脈バイパス術後縦隔炎の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 堤泰史, 大中正光, 大橋博和, 村上晃, 手取屋岳夫, 田中孝
Authors(kana) :
Organization : 福井心臓血圧センター・福井循環器病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 1
Page : 81-85
Year/Month : 1991 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は, 左内胸動脈使用下, 2枝バイパスを行った61歳男性である. 術後78病日にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による縦隔炎が顕性化したため, 郭清術後, 開放創とし, 10% povidone iodine液を含浸させたガーゼにて創部を充填し, 菌の陰性化と肉芽の発育がみられるまで17日間管理した. 胸骨及び肋軟骨の一部は腐骨化しており, これらをすべて除去し, 間隙を有茎大網にて充填し一期的に閉鎖した. 術後呼吸不全は問題とはならず, 良好に経過した. 手術時期の決定には, 今後の検討を要するが, 大網移植は, 手技が容易でありその効果は大きく, 筋肉弁と同様に, 今後期待し得る術式と思われる. 心臓手術における胸骨正中切開法は, 普遍的アプローチとして多用されているが, これに伴う合併症として術後縦隔炎があり, その頻度は0.4~5%といわれている1)~5). 本症は, 一旦発生すると非常に重篤な状態に陥ることもしばしば経験し, 心臓手術の技術的進歩にもかかわらず, いまだに治療法の確立されていない分野である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 前縦隔炎, MRSA, 胸骨全摘出, 有茎大網移植
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