アブストラクト(39巻8号:日本胸部外科学会雑誌)
Title : | 食道癌術後挙上胃管潰瘍穿孔の1治験例 |
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Subtitle : | 症例 |
Authors : | 葉梨智子, 井手博子, 野上厚, 羽生富士夫, 山田明義, 野崎幹弘* |
Authors(kana) : | |
Organization : | 東京女子医大消化器病センター外科, *東京女子医大消化器病センター形成外科 |
Journal : | 日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : | 39 |
Number : | 8 |
Page : | 1242-1246 |
Year/Month : | 1991 / 8 |
Article : | 報告 |
Publisher : | 日本胸部外科学会 |
Abstract : | 食道癌術後再建胃管の潰瘍病変の報告はあまり多くないが, しばしば無症状に経過し, 穿孔, 出血などの重篤な合併症を引き起こすことがある. 症例は72歳男性, 胸壁前挙上胃管に発生した潰瘍が縦隔に穿破して膿瘍を形成, 潰瘍底からの動脈性出血のため緊急手術を施行した. 胃管部分切除, 膿瘍の掻爬洗浄後, 大胸筋弁にて被覆した. 約5ヵ月後, 局所の炎症が十分治まるのを待って, 頸部食道―胃管間に空腸遊離移植を行い再建に成功した. 挙上胃管潰瘍発生の原因は明らかではないが, 酸分泌能の残存, 胃管作成等の侵襲による粘膜防御機能の低下が重要な成因となっている. また, 本症例では術後照射が行われており, 照射による炎症反応の低下, 治癒の遷延が重篤な経過をとった大きな要因と思われた. 食道癌術後の再建胃管には種々の病変が発生するが, 潰瘍病変の報告はあまり多くない. 今回, 胸壁前挙状胃管に発生した潰瘍が胸骨を穿破して前縦隔膿瘍を形成し, 外科的処置を要する重篤な経過をとったが, 空腸遊離移植にて再建し治癒しえた症例を経験したので報告する. |
Practice : | 臨床医学:外科系 |
Keywords : | 挙上胃管潰瘍穿孔, 食道癌術後照射, 空腸遊離移植 |