アブストラクト(39巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Microknitted Dacron graftを用いた乳児期早期ファロー四徴症に対するmodifided Blalock-Taussig手術の検討
Subtitle : 原著
Authors : 北川哲也1), 加藤逸夫1), 江川善康2), 滝浩樹1), 吉栖正典1), 三木理1), 増田裕1), 高橋芳夫3), 秋田裕司3), 松岡優3)
Authors(kana) :
Organization : 1)徳島大学医学部心臓血管外科, 2)徳島大学医学部第2外科, 3)徳島大学医学部小児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 12
Page : 2145-2151
Year/Month : 1991 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 新生児期及び乳児期早期の動脈管依存性のファロー四徴症に施行したmicroknitted Dacron graft(MKDG)によるmodified Blalock-Taussig shuntの手術例について, その手術成績を中心に検討した. 症例は8例で9回の短絡術を施行し, 1例を失った. 初回手術時日齢は3~74日, 体重は2,340~4,600g. 肺動脈閉鎖が4例, 同重症狭窄が4例であった. 初期の2症例で, 術前のPGE1投与に伴うトラブルから著明な低酸素血症を来し, それに起因すると思われる痙攣発作を認めた. 以降, このような原因で発生する脳障害を防止するために, 術前のPGE1投与期間を短くして早期に短絡術を施行し(PGE1投与開始後2~13日目), 脳障害を認めていない. 径5mmのMKDGによる短絡を4回, 径4mmのを4回, 径3.5mmのを1回施行した. 径5mmのMKDGによる短絡では, 4例中2例で術後短絡流量過多による心不全を来し, 1例を失った. 径4mm及び3.5mmのMKDGによる短絡後の経過は良好であった. 術中の短絡流量からみると, 乳児期早期の動脈管依存性のファロー四徴症における至適短絡流量は70~90ml/kg・minで, 径4mmのMKDGを用いた短絡ではその下限量を確保し得たが, 径5mmの短絡例では, 術後短絡流量過多による心不全を来す症例がみられた. 2歳時までの遠隔では, 径4mmのMKDGによる短絡でも, 体重増加, 多血症の進行程度からみて, 径5mmの短波と同程度の効果がみられた. 従って, 新生児期及び乳児期早期のファロー四徴症に対するMKDGを用いたmodified Blalock-Taussig shuntでは, 4mm径が第一選択と思われる. 1例を除き, 心超音波検査のみで動脈管の位置を確認し, 全例動脈管の反対側に短絡を施行したが, 肺動脈分岐部狭窄が疑われる症例では, 心血管造影を施行し, 総合的に短絡側を判断すべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳児期早期, ファロー四徴症, microknitted Dacron graft, modified Blalock-Taussig shunt, 至適短絡術施行時期
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