Authors : |
平田展章, 中埜粛, 島崎靖久, 谷口和博, 金香充範, 松若良介, 高橋俊樹, 酒井敬*, 榊成彦*, 松田暉 |
Abstract : |
冠血行再建を要する冠動脈の灌流領域の大きさの把握は, 手術効果の判定に重要であると共にその手術適応の決定の一助になり得ると考えられる. そこで冠血行再建術の術中に心筋コントラストエコー法を用いて各グラフトの左室心筋への灌流領域の大きさを検討した. 対象は非心筋梗塞領域に大伏在静脈グラフト(以下SVG)を用いて血行再建を施行した36例69枝(LAD:16, D1:10, OM:13, PL:13, RCA:17)である. 術前のCAGで全例右冠動脈優位であった. 灌流領域の大きさの判定は, 左室乳頭筋レベルの短軸像にてエコー輝度の増強が認められた領域(灌流領域)の円周長の全周長に対するパーセントで表示した. LADに対するSVGの灌流領域は狭窄が近位部にある5症例では28±6%, 中間部にある11症例では23±6%である. D1:10±2%, OM:17±3%, PL:22±6%, RCA:17±5%(LAD近位部閉塞によりRCAより中隔が灌流されている5症例では22±5%)であった. 冠動脈が完全閉塞しており, 側副血行にてその末梢側が灌流されている領域の血行再建後の灌流領域の大きさはLAD領域, LCX領域(14PL, ONともに), RCA領域ともにnative coronary灌流領域と差を認めなかった. 以上, 心筋コントラストエコー法にて血行再建直後のグラフト灌流領域を明確に把握し得た. 本方法は血行再建のefficacyの判定に有用であると共に, 冠血行再建術の適応決定に資すこと大であると考えられた. |