アブストラクト(40巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 後天性三尖弁狭窄症の外科治療
Subtitle :
Authors : 田中稔, 竹内栄二, 渡辺孝, 玉木修治, 田嶋一喜, 柵木隆志, 碓氷章夫, 平手祐市, 澤崎優, 阿部稔雄
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 40
Number : 1
Page : 61-65
Year/Month : 1992 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1978年2月から1990年5月までに, 後天性器質的三尖弁疾患に対して手術操作を加えた10例を対象として, その手術術式, 手術成績, 遠隔成績について検討した. 三尖弁疾患の診断は全例閉鎖不全症(TR)兼狭窄型で, 三尖弁に対する手術術式は, 弁置換術4例, 交連切開術+弁形成術3例, 交連切開術+弁輪形成術3例であった. 手術死亡はなく, 術後32ヵ月に肝硬変で1例が遠隔死亡をした. 術後平均追跡期間は45.3ヵ月で, 最長12年3ヵ月である. NYHA心機能分類では, 術前class IV 7例, clss III 3例, 術後は僧帽弁狭窄症及び冠動脈疾患の進行した2例がそれぞれ12年後, 3年後にclass IIとなっているが, 他はclass Iに改善した. 術前後の右房平均圧は11.4±3.6mmHg(平均±標準偏差)から8.6±3.1mmHg(p<0.05)1こ下降し, 胸部X-Pの心胸郭比は69.3±7.2%から56.9±6.4%(p<0.01)と縮小した. 弁修復術を行った6例の術後右室造影では, TRなし2例, I/III度2例, II/III度1例, 未施行1例であった. 器質的三尖弁疾患の外科治療は弁置換術によっても良好な術後結果が得られたが, 人工弁に起因する合併症を考慮すると自己弁の温存が望まれる. 弁修復術の結果, TRの残存する症例があり注意深い術後経過観察を要すると思われたが, 臨床的には満足なものであり, 術中心エコー図法などによる弁機能評価を行いながら自己弁の温存に努めることが望ましいものと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 三尖弁狭窄症, 三尖弁閉鎖不全症, 三尖弁, 三尖弁交連切開術, 三尖弁輪形成術
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