Authors : |
下野高嗣, 和田潔人, 佐藤友昭, 高尾仁二, 片山芳彦, 新保秀人, 岡部学*, 矢田公, 湯浅浩, 草川實 |
Abstract : |
7年6ヵ月間に特発性僧帽弁閉鎖不全症に対し手術を施行した連続する48症例を対象とした. 20例41.7%に形成術を施行, 手術死亡率は形成術施行例5%, 弁置換術施行例7.1%であった. 同期間中に形成術の適応拡大を目的に手術の適応, 方法を確立したが, その妥当性を検討するため確立前の35例をI群, 後の13例をII群とし形成術施行率, 手術成績を比較した. 形成術施行率はI群25.7%, II群84.6%とII群で著明に改善し, 病変別では弁輪拡大例は両群とも100%であったが, 腱索延長例はI群35.7%よりII群50%に, 腱索断裂例はI群10.5%よりII群90%に各々改善し, 特に腱索断裂に対する適応拡大がなされた. 手術死亡はI群で1例に認め, 形成術後の再手術率はI群11.1%, II群9.1%とほぼ同率で手術方針の決定により適応の拡大と良好な手術成績が得られた. また術中心エコー図を心表面または経食道アプローチにて10例に施行し術中と術後4週目の逆流程度を対比した. 8例は一致し, 心表面よりのアプローチにて術中は逆流なしと診断した2例が術後1°と診断された. 形成術施行20例の術後1ヵ月目のNYHA心機能分類は再手術を必要とした2例以外は全例術後II°以下と良好であった. 術後4週目にドップラー心エコー図にて判定した逆流は, 再手術となった2例を除くと, 18例中13例72.2%は消失, 4例22.2%は1°残存, 1例5.6%のみ2°残存と著明に改善し, 同時に測定した14例の僧帽弁有効弁口面積をBjork-Shiley弁使用僧帽弁置換術30例と比較した所, 形成術例3.7±1.1(平均±標準偏差)cm2, 弁置換術例3.1±0.7cm2と形成術がより良好で弁口の狭小化は認めなかった. |