Authors : |
夜久均, 八木原俊克, 岸本英文, 磯部文隆, 山本文雄, 西垣恭一, 藤田毅, 高橋長裕*, 神谷哲郎*, 内藤泰顯** |
Abstract : |
過去12年間に, 乳幼児期総動脈幹12例(乳児6例, 幼児6例)に対してexternal conduit(EC)を用いた根治手術を行った. 乳児期の1例に大動脈弓離断(IAA)を, 他の1例に, 高度のtruncal valve(TrV)の逆流を合併していた. ECには, 1例に弁無し, 4例に異種弁付き(Hancock2例, Ionescu-Shiley2例)を用い, 最近の7例には心膜で自作した3尖弁付き心膜ロール(valved pericardial roll:VPR)を用いた. 大動脈の再建は, IAAを合併した1例に人工血管による再建を, 高度のTrVの逆流例1例に弁輪拡大を伴う弁置換術を行い, 他は大動脈壁の直接あるいはパッチ閉鎖を行った. 手術死亡は, TrVの人工弁置換術を要した乳児1例であった. また, 遠隔死亡は, ECの感染にて術後10ヵ月で失った乳児1例であった. 長期生存10例全例に術後3ヵ月から2年6ヵ月(平均13ヵ月)で行った心臓カテーテル検査では, Pp/Psは0.12~0.52(平均0.36)に, Rp/Rsは0.10~0.42(平均0.21)に低下した. ECの再狭窄はHancock弁付きconduit用いた幼児2例, 自己心膜で作成したVPRを用いた乳児1例で, それぞれ根治術後10年2ヵ月, 7年9ヵ月, 1年8ヵ月でECの置換術を要した. また, そのうちの幼児1例は, 大動脈弁逆流のため同時に大動脈弁置換術を行った. 手術成績は, 比較的満足できる結果であったが, 高度のTrVの逆流を伴う症例の救命は今後の課題である. |