Title : |
心房心室錯位を伴う心疾患に対する運動負荷試験による術後遠隔期系統動脈心室機能の検討 |
Subtitle : |
|
Authors : |
山岸正明**, 今井康晴, 星野修一, 石原和明, 高英成, 長津正芳, 黒澤博身**, 中沢誠* |
Authors(kana) : |
|
Organization : |
東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児外科, *東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児科, **東京慈恵会医科大学心臓外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
40 |
Number : |
8 |
Page : |
1213-1219 |
Year/Month : |
1992 / 8 |
Article : |
原著 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
心房心室錯位を伴う心疾患に対して運動負荷試験を用いた核医学検査による術後遠隔期心機能の検討を行った. 心内修復術を施行した心房心室錯位症例(AVD群)12例と有意な心疾患を持たない健常例(C群)8例を対象とした. AVD群の術後経過年数は1~9.8年(平均5.3年)であった. AVD群では運動耐用能の低下を認め, 最大運動負荷量はC群の75%にとどまった. C群では運動負荷時に収縮末期容積の減少により有意な右室駆出率(EF)の増加がみられたのに対して, AVD群では拡張末期容積が減少したためEFは軽度低下した. これは右室の収縮能の低下に加え, AVD群での右室拡張能の低下と左室‐肺動脈心外導管により右心拍出量が規定されるため左心系前負荷が減少したことによると考えられる. 一回拍出量の増加率もC群に比し有意に低温であった. 心拍出量を表すOutput count indexは心拍数の増加によりAVD群でも術後増加がみられたが, その増加率はC群に比べ有意に低値であった. また, AVD群のなかでも潜在的右室機能低下を持つと考えられる手術時高年齢かつ術前RVEDP高値の症例では運動負荷試験による反応が不良で, 右室予備能の低下が顕著であった. 従って, 本症の治療方針としては右室機能低下以前の低年齢での外科治療を心掛けるべきであるが, 術前中等度以上のTR合併例, 右室機能低下例, 高齢の症例については術後右室不全を来す危険性が高いため, 従来の右室を系統動脈心室とする術式ではなく左室を系統動脈心室とする解剖学的根治手術(Double switch operation)を考慮すべきと考えられる. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
心房心室錯位, 運動負荷試験, 三尖弁閉鎖不全, 右室機能不全, 解剖学的根治手術 |