Abstract : |
心筋梗塞後左室瘤(LVA)に対するpatch reconstruction術の術後左室機能について検討した. 対象はpatch reconstruction術を施行したLVA15例であり, 平均年齢59±8.5歳, 男性14例, 女性1例である. うち8例には大動脈冠状動脈バイパス手術を追加施行した. 切除面積は40±27cm2であり, 縫い代を含めた補填パッチの面積は切除瘤面積に対し57±19%であった. 術前及び術後1~2ヵ月において平衡時RI-angioより, 安静時及び運動負荷時EF(Ejection Fraction), 1/3FF(Filling Fraction), PFR(Peak Filling Rate)を求めた. また, 超音波ドプラ断層装置を用い, 僧帽弁位レベルでの心房収縮期における左室流入血流の最高速度, 急速流入期における最高速度の比(A/R ratio)を, 術前と術後近接期より遠隔期において測定し, 次の結果を得た. (1)術後, 安静時及び運動負荷時EFは術前に比し有意に(p<0.01)改善を示した. (2)1/3FF, PFRは正常値までは増加しなかったが, 改善傾向を示した. (3)瘤切除による直接的効果としてA/R ratioは術後近接期より有意に(p<0.05)改善し, この状態が遠隔期まで維持されていた, また, A/R ratioの術前後比は左室拡張末期容積の減少と有意の相関(r=+0.807, p<0.05)が認められた. 以上のことからLVAにおいてはpatch reconstruction術により収縮期指標としてのEFの改善, 拡張期指標としての1/3FF, PFR及びA/R ratioの改善を認めた. |