アブストラクト(41巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : IABP施行に伴う広範腸管壊死症例の経験
Subtitle : 症例
Authors : 羽賀將衛, 笹嶋唯博, 浅田秀典, 東信良, 森本典雄, 久保良彦
Authors(kana) :
Organization : 旭川医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 1
Page : 93-96
Year/Month : 1993 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : IABP施行中に広範な腸管壊死を来した2例を経験した. 症例1は, 不安定狭心症を合併した両下肢ASOの患者で, 下肢血行再建術後7日目に急性心筋梗塞を発症しIABPを施行した. 施行5日目, 激しい腹膜炎症状が出現したため開腹, 小腸, S状結腸の広範壊死を認め, 切除小腸の病理組織像では動脈内にコレステリン塞栓を認めた. 症例2は, 高位腹部大動脈閉塞を合併した患者の冠動脈バイパス術の際に, 体外循環から離脱困難のためIABPを施行した. 2日目に激しい腹痛が出現し開腹, 小腸及び大腸の広範壊死を認めた. 2例とも壊死腸管切除術を行ったが死亡した. 下肢ASOを合併し大動脈に高度の硬化性病変や壁在血栓を有する患者では, IABPを施行すべきでなく, 絶対的に他の補助手段を選択すべきと考える. IABPの有用性は既に広く認められているが, その施行に伴う合併症も数多く報告されている. 今回, 教室においてIABP施行中に広汎な腸管壊死を来し死亡した症例を経験したので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : IABP, 広範腸管壊死, コレステリン塞栓
このページの一番上へ