アブストラクト(41巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Blalock-Taussig短絡術後の吻合部形態と肺動脈発育効果の検討
Subtitle : 原著
Authors : 本田二郎, 庄司佑
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 4
Page : 569-577
Year/Month : 1993 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Blalock-Taussig短絡手術195例につき, 主として原法(CBT=classic B-T)と変法(EPTFE使用例, MBT=modified BT)の比較を中心に開存率を検討した. また術後に肺動脈造影, 又は短絡血管造影を施行し得た109例につき, 吻合部の形態的特徴を検討した. 更に術前後で肺動脈インデックス(PAI=左右肺動脈断面積の和/体表面積)の計測が可能であった60例を対象とし, 肺動脈発育度とそれに影響を及ぼす因子を検討した. 肺動脈発育度は術後PAI/術前PAI(DR=development ratio)として算出した. 195例中CBT121例, MBT74例で術後6ヵ月目の開存率はCBT91.6%, MBT98.6%とMBTで有意に良好であったが, 1年目以後は両者の開存率に有意差を認めなかった. ただMBTのなかでも4mm径使用例は開存率が不良であった. 術後の吻合部肺動脈狭窄の出現頻度はCBTとMBTの間で有意差を認めなかった. CBTにおける術後遠隔期の吻合部形態の特徴として, 短絡血管の先細り型(漏斗状, クローバー状)狭窄を26.4%に認めたが, 肺動脈の発育を妨げるものではなかった. またMBTでは人工血管内腔の狭小化所見を21.6%に認め, これらの肺動脈の発育は不良であった. 次にDRに影響を及ぼす因子を検討し, 以下の結果を得た. 1)術前PAIが低い例ほどDRが高く, 有意の負の相関を認めた(p<0.01). 2)6ヵ月未満の症例はそれ以上のものと比較してDRが高かった. 但し, 年齢とDRの間には有意な相関は得られなかった. 3)CBT, MBTの比較で発育に有意差は認めなかった. また肺動脈狭窄(PS)と肺動脈閉鎖(PA)の比較でも差を認めなかった. 4)非短絡側肺動脈も良好に発育した. 5)吻合部肺動脈狭窄はDRに有意な影響を及ぼさなかった. 次に, BTSによる肺動脈の発育が二期的根治術の第一期手術として, どの程度有効であったかを検討した. 結果, RVOTR(right ventricular outflow tract reconstruction)型手術, 及びRastelli型手術を目標とした例では発育も良好で根治に至った例が多かったが, Fontan型手術を目標とした例では, 十分良好なDRが得られても, なお適応基準を満たさない例が多く根治に至った例は少なかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Blalock-Taussig短絡術, 開存率, PAI, 肺動脈発育, 吻合部狭窄
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