アブストラクト(41巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 緊急手術を要した外傷性僧帽弁乳頭筋完全断裂の1治験例
Subtitle :
Authors : 市原利彦*, 酒井喜正, 増本弘, 浅岡峰雄, 関章, 保浦賢三*
Authors(kana) :
Organization : 市立岡崎病院心臓血管呼吸器外科, *名古屋大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 41
Number : 6
Page : 1030-1034
Year/Month : 1993 / 6
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 鈍的胸部外傷に起因する心臓外傷は, 比較的無症状に経過する心挫傷から救命的となる心破裂まで存在するが, 本邦では報告例が比較的少ない. とりわけ外傷によって僧帽弁閉鎖不全症(MR)を生じた症例の報告はまれである. 今回著者らは鈍的外傷による心破裂及び急性のMRを発生した症例を緊急手術により救命したので報告する. 症例は27歳, 男性. オートバイ運転中, 木に激突し胸部を強打し, 救急車にて病院に搬送された. 来院時には血圧低下からショック状態であり, 心エコー上, 心タンポナーデもMR III/IV度を確認したので, 緊急心嚢ドレナージを施行して状態の改善を見た. しかし, Swan-Ganzカテーテルを用いた検索で肺動脈収縮期圧は70mmHgと高値を示し, 急性肺水腫の病態が急激に増悪したので, 諸検査の後に, 心単独損傷と判断し, 同日緊急手術を施行した. 体外循環下に亀裂を認めた左室下面を縫合した後に, 僧帽弁を観察したところ, 前, 後乳頭筋とも完全断裂を認めたので, 人工弁置換術を行い, 良好な術後経過を得た. 外傷による弁膜疾患は僧帽弁位では少ないとされる. 加えて乳頭筋完全断裂例の報告は更に少なく, 本症例のごとき救命例は極めてまれなものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 鈍的外傷, 僧帽弁閉鎖不全, 心単独損傷, 乳頭筋完全断裂, 急性肺水腫
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