Abstract : |
冠血行再建術において最近では両側内胸動脈(ITA)及び右胃大網動脈(RGEA)を使用することが多く, 良好な臨床成績が報告されている. しかし, 術前より各グラフトの性状を検索し手術を行った報告はいまだないため, われわれはこれら動脈グラフトの術前造影を行い各種グラフトの比較検討を行った. 対象は24例68本の動脈グラフトであり, ITA径は基始部(Prox), 中間部(Cent), 腹直筋近くでの動脈分岐部位(Bif)の3ヵ所で計測, RGEA径は基始部(Prox)と胃大彎1/2の部位(Mid)の2ヵ所で計測した. 各グラフト基始部の比較ではRGEAが2.78mmと最も太く, 次いでRITA2.59mm, LITA2.08mmの順であった. また冠状動脈吻合部位として予測されるRGEA-MidとITA-Bifでも同様にRGEAが最も太く, 次いでRITA, LITAの順であった. 造影を試みた24例68本の動脈グラフトのうち動脈閉塞を2例, 動脈狭窄を1例に認めた. 以上の結果から冠動脈再建手術に対する動脈グラフト使用に際しては, できるだけ術前動脈グラフト造影を行い, グラフト選択の検討を行うことが望ましいと思われた. |